つま先走りでは速く走れない【真下に踏み込む感覚を持つことが重要】

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クライアント
速く走るためには、つま先で走る方がいいと思います!

先日、ラグビー兵庫選抜の選手と、全国大会に出場する中学野球選手にそれぞれ走り方について指導することがありましたが、偶然にも2人とも同じことを言っていました。

僕自身も小学生の頃、何かで知ってつま先を意識して走っていましたが、実際はそのような走り方をすると遅くなってしまいます。

この記事では

  • 速く走るためには、ピッチ×ストライドの関係が重要
  • つま先で走るよりも、真下に踏み込むイメージの方が速く走れる
  • 腕は、引くのではなく前に振り出す感覚

などをお伝えします。

今回は、つま先走りが速く走れない理由と走り方のポイントについて解説します。

 

速く走るためには遺伝も関係する

速く走るためにはどうすればいいのでしょうか?まず知っておくことは、誰しもが世界記録保持者のウサイン・ボルトのような選手にはなれないということです。

ここには、遺伝的に分けられる筋肉のタイプが関係しているんですね。詳しく解説します。

筋肉のタイプとは

筋肉には主に2つのタイプがあり、

  • 速筋と言われる白い筋肉
  • 遅筋と言われる赤い筋肉

この2種類です。一般の方の場合、5:5、もしくは6:4のようなバランスで存在しています。

ウサイン・ボルトのような脚の速い選手になるためには、9:1ぐらいの割合で速筋が多いと、なれる可能性があります。

ただ、この筋肉のタイプの割合は、遺伝的に決まると言われ、後天的には変えることができません。ですので、オリンピックレベルの選手になるためには、遺伝的要素も大きく関わるということです。

筋肉のタイプの割合を調べることができる

少し余談になりますが、この筋肉のタイプの割合は、以前まで調べることができませんでした。

ですが、最近は遺伝子検査キットなどが出てきて、自分の筋肉のタイプの割合を調べることができるようになっています。

それが、これらのキットです。

将来や自分の可能性を知れる検査キットになります。専用の器具で口の粘膜をとって、指定されたところに送付するだけの簡単な検査キットです。興味がある方は、ぜひ調べてみてください。

筋肉のタイプが、5:5などの平均の場合、今よりも脚を速くすることができないのかというと、そうではありません。

 

速く走るためには“スピード”を理解する

スピードを向上させると速く走ることができますが、そもそもスピードとは何でしょうか?2つの要素があります。

  • 速さ・・・変えられない=筋肉のタイプ
  • スピード・・・変えられる=動作、動き

これらのことを指しており、詳しく解説します。

速さとは

先ほど、筋肉のタイプについてお伝えしましたが、“速さ”とは、遺伝で決定される要素のことです。つまり、筋線維のタイプのことを指しています。

速筋線維が多ければ多いほど、筋肉が収縮する速度が速いため、その分速く走ることができます。

ただ、遺伝的に決まる筋線維のタイプは変えられないので、速さ=変えられないものと理解してもらうといいと思います。

スピードとは

スピードは、動作や動きのことを指し、硬い動きよりもスムーズな動きができた方が足の回転も速く、結果速く走ることができます。

つまり、スピードとは変えることができる要素ということになります。

ですので、遺伝的に速筋線維が少ない場合であっても、スムーズな動作に変えることで、速く走れる可能性があるということです。

いずる
ウサインボルドは、この両方に優れていたということですね!

ピッチ×ストライド

もう1つ知っておきたいことは、速く走るためには必ず、

ピッチ×ストライド

の関係があります。言い方を変えると、

いかに脚の回転を速くし、いかに1歩の歩幅を大きくできるか

それが、より速く走るためのポイントになるということです。

先ほどお伝えした、速さとスピードのことをここで考えると、脚の回転は速筋線維が多い人ほど速くなり、スムーズな動作であればさらに速くなります。

今回、2人の選手に指導したことは主にスピードである動作の部分です。走り方を改善すると、すぐに速く走れるようになるので、今回はこの2人の選手に指導したことをお伝えしていきますね。

 

速く走るためのポイント

それぞれの選手の改善ポイントは当然違っているため、言葉がけ、指導の仕方も変わっていますが、速く走るためのポイントとしては、このようなことがあげられます。

  • 立ち方から見直す
  • 重心を運ぶ
  • 膝を上げるのではなく、前に出す
  • つま先で地面を蹴るのではなく、踵で真下に踏み込むイメージ
  • 腕は前方への推進力を得るために活用する

こういったポイントを指導し、走り方を改善しました。

2人とも、指導前は速く走る=息が上がりしんどい、というイメージがあったそうですが、指導後は速く走っても楽に走れる、疲れないことを実感されていました。

体重を支える位置をつま先から踵に変える

まず最初に指導したことは、2人ともつま先重心で立っていたため、踵のこの位置に体重を乗せて立つことから指導しました。

重心の位置

この位置に体重を乗せると、足裏全体で立つ感覚が生まれ、後程この位置を使うのでまずはインプットさせていきます。

また、この記事で「踵(かかと)」と表現していきますが、その位置はこの赤い丸の位置だということを共通認識として持っておいてくださいね。

赤い丸の位置に体重を乗せて立てると、このような足の状態になります。

フラット着地

踵に体重を乗せた状態で、次は軽くしゃがんでみたり、ジャンプをして着地をしてみたりする中で、この点で体重を支持できるように着地ポイントを変えていきました。

実際に行ったことは、こんな感じのことです。

これで踵に体重が乗ることをインプットし、次に移っていきます。

重心を移動させることで動く

選手に走るイメージを聞いたところ、

クライアント
脚を前に出す・・・

ということを言っていました。クライアントさんの中にも、歩く・走る=脚を前に出す、というようなイメージを持っている方は多いですね。

ただ、人間の身体はよくできていて、自分の重心を前に運べば“勝手に”脚が前に出てきます。実際にやってみてください。

その場で立った状態で重心を前に倒していくと・・・

重心移動

重心移動

重心移動

パッっと防衛反応で脚が勝手に出てきます。

つまり、脚を前に出すということではなく、脚が勝手に前に出てくるということです。勝手に出てくるので、緊張もなく動きもスムーズです。

重心を進みたい方向に運ぶことで自然と脚が出てくるので、この反応を利用し、走りにつなげていきました。

動き方はシンプルで、頭を前に倒すようなイメージで、全身の無駄な力を抜き、リラックスする。すると手足はぶらぶら状態で走り出します。

リラックスができるとわかっていただけますが、このとき着地は自然と足裏全体になり、重心を運ぶことで進むということをインプットしていきました。

膝は高く上げず前に出す

重心を前に運ぶと進めることが実感できたので、次はそれぞれの選手にこんな質問をしてみました。

いずる
走るときは膝を高く上げる?

と聞くと、

クライアント
上げます。

という答えが返ってきました。

走るときは前に進むわけですが、膝を高く上げることでどのような意味があるのでしょうか?股関節が緊張し、ピッチが下がります。つまり、スピードは落ちてしまうんですね。

膝を上げる

もう少し理解しやすいように、各選手の膝の高さに注目しながらこちらの動画をご覧ください。

選手の動きを見ると、太ももの位置は、ほぼ地面と並行でありそれ以上高く上がっていません。

膝を高く上げることは、走るときにはプラスにならないことがわかると思います。感覚的には、膝は前に出すことがすすめられます。

膝を前に出す

そうすると、脚の回転が小さくなり、ピッチが上がります。

実際に選手達には、まずその場で膝を前に出す動きを伝え、それができると走るときに膝は前にという意識で走ってもらいました。

そうすると、ズン、ズン、ズンと進むような感覚が得られたそうです。そして、今回の一番のテーマでもあるつま先走りについてどう考えるか、その回答になる部分がこの後になります。

つま先で地面を蹴らず、踵で真下に踏み込む

膝を前に出す感覚が掴めると、次に行ったのは踵で地面を真下に踏み込むということです。

なぜ真下に踏み込むのかというと、地面からの反力をもらえ、その分斜め前方に弾むことができます。つまりストライド伸びるため、真下に踏み込むと速く走ることができるようになります。

こういうことを言うと、

ある人
世界陸上の動画をみていると、つま先走りになっているけど、どういうこと?

という意見が出てくるかもしれません。

ここは整理しておく必要がありますが、地面からの反力をもらうための動きを習得する段階などでは、踵で地面を踏み込む意識で行うと、実際その動きはできます。

ただ、全力で走るとなれば、踵で地面を本当に押していると接地時間が長くなり、速く走れません。ですので、全力で走る場合は、真下に踏み込む“ようなイメージ”で走ればOKです。

そうすると、動きもスムーズですし、地面からの反力もうまくもらえるので、見た目としてはつま先走りでも問題ありません。というか、つま先走りのような状態になります。

つま先を使ったり意識して走らない

問題になるのは、つま先で地面を蹴ってしまったり、つま先で着地をしようと意識してしまうことです。

つま先に重心が乗ると、回転方向に力が働くんですね。ですので、つま先で地面を蹴るように意識すると、後方に足は跳ね上がり、作用反作用の関係で身体は前に倒れるような動きとなります。

作用反作用

そうすると、脚の回転自体が大きくなり、ピッチが下がるのでどうしても動きが遅くなります。

さらに、身体が前に倒れているので、着地の際につま先から地面を突くような着地となり、そこでブレーキがかかり減速します。

脚の回転が大きくなる+ブレーキをかけてしまうことで、結果的につま先走りでは速く走れないということになります。

だから、真下に踏み込むイメージを持って走ることを指導しているんですね。実際に、こういったことを選手にも伝え、走りやすさの違いを実感してもらいました。

さらに、もう1つ指導したのが腕の使い方です。

腕は後方に引かず、前に出す

よく、

ある人
走るときは腕をしっかり引いて走りましょう!

ということを聞きますが、短距離を走る場合は腕は前に振り出す方が速く走れます。これは、ペットボトルを持って歩くとよくわかります。

ペットボトルを持って歩く

ペットボトルが身体の前に来たとき、グググッと前に引っ張られる感覚がありますが、逆に後方に振るとブレーキがかかります。

腕を後方に引く

身体の構造上、腕は前に振ることが自然ですし、そもそも前に進もうとしているのに、なぜ引くことが必要なのでしょうか?

そう考えると引く方が不自然になります。

短距離の場合、腕の役割は、

前方への推進力をもらうための道具

として活用します。イメージ的には、このように前に振り出すように使います。

腕の使い方

そうすると、腕の使い方を変えるだけで、ぐんっぐんっぐんっと前に引っ張られるよう走ることができるようになるんですね。

腕の使い方は、特に引く方が多いので、前に振り出すように使うことで、今の走りは全然違ってくると思います。

※ちなみに、この腕の使い方は短距離の使い方であり、ランニングや長距離の場合は、また使い方が変わるので、そこは分けて考えてくださいね。

ここまで挙げた身体の使い方だけではありませんが、選手本人の感覚を確かめながら走り方を修正していきました。

最初はそれぞれの選手から一生懸命さを感じていましたが、無駄な力も抜け、リラックスして走ることができたため息の上がり方もなだらかで、全体の動きからは柔らかさを感じることができました。

ただ、まだ修正箇所もあるので、今後はそのあたりを課題として伝えていきたいと思います。

 

短距離の走り方のまとめ

ここまでお伝えしてきた走り方を簡単にまとめると、このようになります。

いずる
チェックとしてご覧くださいね。

踵に体重を乗せて立つ

まずは立ち方を改善することです。立ち方の延長に走り方があり、立ち方の崩れは走り方にも影響を与えます。

立ち方

重心を前に運ぶ

胸辺りに重心を設定し、その重心を前に運ぶイメージで走る。

重心移動

膝は高く上げず、前に出す

膝を高く上げると脚の動きが硬くなり、ピッチが下がります。膝は前に出すようなイメージで使います。

膝を前に出す

踵で真下に地面を踏み込むイメージ

走っている時は、踵で真下に地面を踏み込むようなイメージで走ること。実際に、踵で踏み込んでしまうと、タイムロスになるので、そういうイメージを持って走ればOK。

真下に踏み込む

さらに、つま先で地面を蹴ると脚が身体の後方で大きく跳ね上がり、身体が前に倒れます。

作用反作用

そうすると、脚の回転が大きくなるためピッチが下がり、速く走れません。ですので、つま先で地面を蹴る、つま先から着地するなどの意識は持たないこと

腕の使い方は前に振り出す

最後に、腕の使い方は、前に振り出すように使うこと。腕は前方への推進力を得る道具なので、引くと減速して百走れない。

腕の使い方

実際現場で指導となると、もっとやることはありますし、アドバイスの仕方は変わってきますが、イメージとしてはこんな感じで走ることで、今よりもスムーズ動作ができ、速く走ることができると思います。

速く走るためには、遺伝的な要素も一部関与しますが、それ以外にも速く走るためのポイントはいくつもあります。

改めてお伝えしたいことは、筋力を向上させることである程度速く走ることにはつながりますが、それが絶対の方法ではありません。

動作や動きのスムーズさが出てくればそれだけでも変わります。よく言われている、膝を高く上げる、地面を蹴る、腕を引く。これらの動きを見直すことがより速く走るためのポイントになるのではないでしょうか。

今回の記事が少しでも参考になれば嬉しく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事でご紹介した検査キットまとめ

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